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勢川びき
2000年1月28日

No.29 「二兎追わずに」

 江実の定期検診で、肝臓のドクターに会いました。
 「何か気になることはあるか?」と聞かれたので、「最近、益々口からミルクを飲める量が減ってきた」と答えると、「今は体重を増やすことがもっとも大事。口から飲めるかどうかは気にせず、鼻からのチューブからでいいから必要な量をしっかり与えること」と一蹴されました。
 「体重を増やすこと」と「口から飲めるように練習を続けること」の2つの相反することを無意識に追い求めていたことに気がつきました。「口からなんとか飲ませたい」・・・そう思っているのに飲んでくれない。口から飲める量は減る一方で、口から飲ますための時間が長くなるばかりで、そのためミルクをあげる時間の間隔が伸び気味になり、結果として一日に与える量が十分ではありませんでした。
 「体重が増えることが最優先。それ以外のことはそれから」とはっきり言われ、すっきりしました。
 しばらくは二兎は追わないことにします。

 心臓の問題は江実が産まれる前から分かっていたこと、また、心臓の手術は大手術で術後に生死の境を経験したこと、などのため、どうしても心臓の問題の方にこれまで頭が行っていて、肝臓の方は心臓に比べるとなんとなく「軽い」問題のように思っていました。しかし、ドクターから「手術の結果がいいか悪いかは、何年も分からない。十年でも分からないかもしれない。時間がかかる」と言われ、改めて肝臓の問題の重さを思い知らされました。
 そして、今ごろになってインターネットで情報収集を始めました。

 江実の肝臓の病名はBILIARY ATRESIAと言います。持っている普通の辞書では和訳がないのですが、症状や治療法から言って、恐らく胆道閉鎖症のことです。胆道閉鎖症は、江実が受けた「Kasai Procedure(葛西方式)」が治療のための手術として一般的ですが、この方式で完治しない場合が多く、その場合は肝臓移植しか道がないようです。昨年、日本で初めて京大病院で脳死患者から肝臓が二歳の男児に移植されたのも胆道閉鎖症でした。

 江実の術後に別のドクターから説明を受けたとき、「葛西方式の成功確率は30%くらいしかないのだけど、江実は成功したみたいだよ」と明るく言われて、素直に「あ、よかった、後は良くなるのをじっくり待てばいいんだ」と考えていました。

 もちろん、このまま普通の寿命まで肝臓が問題なく働いてくれれば言うことはありません。でも、ある日、肝臓移植が必要、と言われることも心の片隅に置くことになりました。日本でも生体肝移植の事例はどんどん増えてきていて、今、まさに確立されようとしている分野です。アメリカでは既に確立しています。

 もし移植が必要になるのなら、アメリカにいるうちに、それと私が若いうちに(私の肝臓が適合するなら)・・・というようなことも考えてしまうようになりました。

 江実本人は至ってご機嫌です。
 最近は少し首も据わって来て、ソファーに写真のように一人で座ってテレビを眺めたりしています。
 泣き声や動きもとても激しくなってきました。

 江実、何があっても何とかするぞ。
 まずはおデブさんを目指そう!



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