勢川びき
2000年9月3日(日)

No.59 「ちゃんと成長してるよ!」

 もちろん、まだ江実は病院にいます(「もちろん」というのも悲しいかな?)。  何も変化がないように思える今週でも、こうやって週記(週の日記)のように振る返るとそれなりに色々ありました。

 今週初めには便からC.difficile(細菌)が見つかり、NGで胃に新たな薬の投与が始まりました。「『しーでふ』が見つかった」と聞いた妻は最初は何のことか分からなかったのですが、そこはさすが元薬剤師、日本語の専門書で調べて「抗生物質投与を続けていると繁殖しやすい細菌」であることをつきとめました、偉い!

 呼吸はまだ早く苦しそうで、ちょっと離れたところからホース状のもので酸素をベッドの上に流しています。そうすると血中酸素濃度が90くらいだったものが100ちかくになります。

 昨日はまた39℃の熱が出てしまいました。熱自体もしんどいでしょうが、熱が出ると尿路にチューブをつっこまれて尿を取られたり、痛い痛い採血をされたり、沢山の嫌な思いをすることになるのがとても可哀想です。
 江実の血管や尿路はとても小さいのでベテラン看護婦でないと簡単には行きません。昨日は「レジデント」と呼ばれる若い医者が江実で練習しましたがうまく行きませんでした。ま、江実は練習台になることで世の中に貢献しているよなあ。これまでも沢山の若いお医者さんが一杯江実を経験して行きました。

 小児科の主治医であるドクターと少しゆっくり話しをする機会が持てました。
 元々はTPNで体重がちょんと増えるかどうかを見て、増えるようだったら肝臓移植の可能性を再検討する。・・・というのが6月29日にあったミーティングでした。それから2ヶ月が経ち、肝臓移植の担当医はどう考えているか、を聞いてみました。
 どうやら、まだそういう会話は行われていないらしく、「そうだね、聞いてみよう」という感じでした。体重はTPNのおかげで確実に増えました。でも、主治医は「みんな2ヶ月前の江実がどんな感じか忘れてしまっているよ」と言います。そこで、右の写真のような約一週間ごとの江実の写真を並べた「江実の変遷」のポスターを作り、渡しました。主治医はとっても喜んで、「看護婦も見えるようにもう一枚作ってベッドに貼って欲しい」と私に頼みました。

 来週は調子が良ければGチューブの手術です。退院の可能性はありません。実は日本に出張なので、ちょっとホッとしています。退院となれば妻ひとりでは大変ですから。  

 最近、江実は調子が良くても滅多に笑顔を見せません。つまらないのだろうなあ、病院の生活が。

 がんばれ、江実。

*写真は上から:
(1) 体重は先週とほぼ同じ。ちょっと腫れ気味だけど今日はマシ。(9月3日)
(2) お母さんに足の爪を切ってもらっています。左足の赤い光は血中酸素濃度のセンサー。バタバタしているので光が流れています(9月3日)
(3)江実の変遷のポスター(8月30日)
(4)良く寝ている江実を頭の上から(9月3日)
(5)ベッドの柵ごしに私をこうやってボーっとよく見つめています(9月3日)



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