勢川びき
1999年6月

No.3「長女のドクターごっこ」

 心臓の問題を抱えるまだ産まれていない次女の検査のため、この春から何度も色々な病院に出かけることが増えました。
 3歳になる長女も仕方なしに連れて行くことが多いのですが、毎回、真っ暗にされた病室で、延々と超音波検査をやっているベッドのそばで、ただ待つだけなので、長女も退屈しています。
 私も嫌というほど超音波の画面を眺める時間が増えたので、最初は何がなんだかわからなかった超音波の画面が、だいぶどこが何なのか分かるようになりました。
 そうやって、しょっちゅう病院に行っていたある日、自宅で突然長女が、「ドクターごっこしよう」と言いだし、私の手を引っ張って、寝室に連れて行きました。そして、布団の上に私を寝かせると(なんとうちではアメリカでベッドではなく布団です)、あお向けになれと指示し、おなかの服をめくったと思うと、私から離れて、椅子を持ってきて、その椅子に登って部屋の電気を消して真っ暗にして、再びあお向けになっている私の横にやってきて、何かを取り上げる仕草をして、「ちゅう」と言うのです。なんじゃらほい?と最初は思ったのですが、すぐに分かりました。これは超音波検査ごっこなのです。「ちゅう」と言いながら長女が私のおなかの上で動かしていたのは超音波検査で使うゼリーのチューブを搾り出している様子なのです。なるほど、よく見てる。
 その後は、片手を私のおなかの上でぐるぐるとゆっくり回しながら、もう片方の手は架空の検査装置のマウスやスイッチを操作する振りをして、目は架空のCRT画面をじーっと見つめています。
 長女にとっては「病院・お医者さんごっこ」=「超音波検査ごっこ」になってしまいました。

 先日、同じくらいの年の女の子と遊んでいる様子を見ていたら、「ドクターしよう!」と意気投合した後に、友達の方は注射ごっこを、長女は超音波ごっこをしていて、二人の遊びがかみ合っていませんでした。・・・うーん。 


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