勢川びき
2000年2月12日

No.31 「次から次に」

 江実が再入院しました。

 一昨日、肝臓の定期検査で病院を訪れたら、そのまま突然再入院することになりました。
 入院の主な目的は、「どうやったら体重がちゃんと増えるか」についての方法(ミルクのやり方や薬の処方)を明らかにするためです。
 また、2週間ほど前に行った肝臓回りの超音波検査で、新たな腫瘍が見つかったとのことで、これについても詳細に検査しようということです。
 以前から心配していたように、肝臓は簡単にはよくなりません。ちゃんと肝臓から排泄物が腸に流れ込んで行けているかどうかを示すビリルビンの血液中濃度も、術後よりは上がってきてしまっています。
 肝臓に関しては、10月に行ったような手術をもう一度行うことはないだろう、行うとしたら肝臓移植になるだろう、と言われました。徐々にではありますが、これまでの様々な兆候から考えて、段々と「移植」の方向に向かっている気がしていましたので、それほどの驚きはありません。

 肝臓は大変心配していたのですが、今日、新たに心臓の問題の説明も受けました。
 今回の入院中に、ついでに行った超音波検査で、心臓の術後にはなかった膜状の障害物がある箇所に現れてきて、血液の流れを妨げ出している恐れがあるとのことです。このようなことは、心臓の手術を受けた場合に、たまにあるようですが、それほど一般的なことではありません。もし、この膜が大きくなっていくようであれば、数ヶ月以内に手術が必要です。

 江実の中では、それぞれとても小さな確率で起こる病気が驚くほど多く重なっています。その小さな確率同士を掛け合わせると、多分、数十億分の1になりそうです。と、いうことはこの地球上の人口分の一とほぼ同じになります。よく生きているなあ、と本当に思います。
 病院(UCSF)でもこれだけ重なるケースはないようで、EMIという名前はとても有名です。

 本人は、まだ人見知りもなく、入院して家族と会えなくても「おか〜さん」と泣いたりしません。こういう状況を本人がまだ認識していないのは何よりの救いです。
 見た目はとても元気で、何事もないようです。
 看護婦さんにもよく笑いかけるので、とても人気者です。
 病室はちゃんとした個室でテレビもあり、江実はよく眺めています。12月に再入院した時は、まだテレビを見る感じはなかったので、成長しているんだなあ、と改めて思いました。

 江実、おまえは既にとっても輝いているね。
 無限の時間の中では、100年生きるのも1年しか生きないのも変わりないね。でも、でも、やっぱりまだまだ輝ける可能性があるから、現代医学を思いっきり使って、少しでも長く生きようね。普通の人の寿命まで達して、おまえが抱えている数十億分の一の確率を笑ってやろうね。


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