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勢川びき
2000年2月27日

No.33 「まずは心臓」

 2月24日に三度目になる再入院をして、今は江実は自宅にいません。外泊が多い娘で困り者です。

 2月24日は、元々の予定では肝臓移植のWaitingリストに名前を載せるために足りないデータなどを揃えるために病院に行ったのですが、ベテラン看護婦が江実を見るなり、「呼吸がおかしい、まずはそれをどうにかしないといけない」と言って、またまた得意の(?)ERへ連れていかれました。
 ERの雰囲気は「沢山の医者・看護婦」「多くの測定器や機械」「飛び交う英語」で緊張感一杯です。看護婦さんも気にしてくれて「あなたは大丈夫か?」と私たち両親に尋ねてくれます。私たちは変に慣れてしまっていて、特に今までの経験とそれほど違わない、というのが正直な感想です。

 この二、三日、江実は呼吸が少し苦しそうで、笑顔も殆ど見せなくなっていたので、「緊急入院」になる可能性も想定していました。
 測定器によると、血中酸素濃度(SaO2)が低くなっていたので、酸素吸入を開始しました。すぐに酸素濃度は回復し、江実の呼吸も穏やかになりました。
 昨年12月に行ったカテーテル検査を再度行いました。その結果、心臓の形状自体はそれほど変化がないものの、大動脈に出ていく寸前の血液の流れが悪く、それが背圧となって肺への血圧が以前より高くなっていることが分かりました。このため、肺に水が溜まって、呼吸が苦しくなっていました。カテーテル検査の前は追加の心臓手術の必要性が高いだろうということでしたが、検査の結果、現時点では手術は必要なく、薬で対応しようということになりました。
 前回の超音波検査で「心臓内の壁に新たな膜が形成されてきている」というのは間違いだったということです。かなりのレベルのドクターでも、江実の複雑で普通でない心臓の内部を把握するのはなかなか難しいようです。

 肝臓移植を受けるためには、それに耐えられる十分な力を持った心臓が前提となります。
 まずは心臓をなんとかしなくてはいけません。

 江実は体は小さいながらも、力も強くなり、精神的にも成長してきていて、以前は何をされても大して騒がなかったのですが、今は、時々おお暴れします。写真は、30分以上も採血をされて、結局4回も針をさされ、しかもうまく血が取れずに痛い思いだけをしておお暴れした後、疲れて寝てしまった江実です。
 救いは、まだ人見知りをしないので、私たち親が離れても問題がないということです。

 2月24日(日本時間)に、斉野朱里(あかり)ちゃん(1歳)が亡くなりました。心肺同時移植をスタンフォード大学(私のオフィスのすぐそば)で受けようと渡米したのですが、肝臓の血管にも異常が見つかり、移植を断念して帰国した直後でした。記者会見で「朱里は小さな体で私たちにいろんなことを教え、考えさせてくれた。悔しいですが、朱里のことは誇りに思います」との母親のコメントは、とても身近に、とても心の奥深くに届きます。

 がんばれ江実。



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