勢川びき
2000年6月11日

No.47 「今が極値と」

 6月3日に受けた肝臓手術の後、しばらく胃へのミルクは再びストップされて、点滴だけとなっていました。そのため、ますます細くなってしまいました。

 ミルクは6月8日から再開されたのですが、9日に熱が出てまたストップされてしまいました。9日の昼間に妻が病院を訪れた時は、午前中熱で機嫌が悪く大泣きして疲れ果てぐったりとしていました。そして、益々細くなっていて、見るからに生命力がなくなっていっている感じがして、妻も精神的に相当参ってしまったようです。

 今考えると、この時が体重減少の極値(最小値)であったと考えていいような気がします。期待もかなり入っていますが。

 妻から昼間の状況を電話で聞いた私は不安を抱えてその晩病院へ行きました。
 江実は大きな声で泣いていました。とてもとても機嫌が悪い状態でした。でも、その大きな声に生命力を感じ、少し安心しました。この時の担当の看護婦が、「江実はこれが好きなのよねぇ」と言って、氷水におしゃぶりを浸して与えていました。私もやってみると、視界におしゃぶりを捉えた江実は大きな口を開けて、おしゃぶりがやってくるのを催促します。 そして、口にくわえると3,4秒本当においしそうにチュパチュパやった後、「もうない!」と突然怒りだし、手でおしゃぶりを放り投げます。それを私が拾って、氷水に再び浸して・・・というのを1時間近く続けました。やせ細って脱水状態にもなっていて、とっても喉が乾いていたのだろうなあ。
 この様子はとても力強くて、江実の生命力を確信しました。

 昨日(10日)は、ずーとつけられていた鼻への酸素補給チューブが外されました。それでも血中酸素濃度は100%近くあります。
 顔にはミルクを胃に流しこむNGチューブだけとなってだいぶスッキリしました。

 9日の氷水のことを思い出して、昨日、医者の許可を得た上で哺乳瓶で水をやってみました。糖分(グルコース)が少し入った甘い水です。江実は久々の口からの飲み物に放心したように吸いついていました。おいしいよお、って聞こえてくる気がしました。
 (右の写真はどちらも本日撮影。今日も飲めてご機嫌な江実)

 写真が好きな私は江実の写真も大量に撮っていて、整理がなかなかできません。5月11日の心臓手術の前に撮った写真を見てみると、今と比べるととてもふっくらしていたことが分かります。当時は他の子供に比べてとてもとても細いと思っていましたが。
 少なくともあの頃ぐらいには早く戻ればいいなあ、と切に思います。

 頑張れ、江実。
 もうこれ以上痩せることはないよ。太って、力をつけようね。



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