勢川びき
2000年9月24日(日)

No.62 「まあだだよ」

 9月22日(金)のランチタイムに小児科の主治医から携帯電話に連絡が入りました。午前中に急に熱が出て呼吸困難になり集中治療室(PICU)に移動したとのことでした。

 その前二、三日もベッドの上に酸素を流し出すホースを置いておかないと血中酸素濃度(SpO2)が90以下になってしまうことがあり、少し心配していました。機嫌も悪かったし。

 6月21日にPICUから一般病棟に移ってから3ヶ月。来週月曜日には退院に向けてのドクターとのミーティングを予定していましたが、またまた後戻りです。

 3ヶ月ぶりにPICUに戻ると、PICUの沢山の看護婦さんから「大きくなったわね!見違えるようだわ!」と声をかけられました。あたかも退院してきたみたいです。実際は反対なんだけれども。

 PICUに運び込まれたときはかなり症状も重く、心拍数/血圧も低かったようですが、私が夕方に駆けつけた時は様々な薬の投与や呼吸補助装置のおかげでそれらの値は大分回復していました。両手両足に嫌いな点滴をつけられ、口には呼吸補助装置を差し込まれていて動いてはいけない状態で、薬でぐっすり眠らされていました。

 その後徐々に回復してきて、今日は点滴も左手と右足だけとなりましたが、まだ呼吸補助装置を気管の奥深くまで入れられています。
 状態が大分良くなってきた分、目が覚めると暴れて呼吸補助装置を引きぬいたりする恐れがあるので両手はヒモでベッドに止められていたり、そのヒモを使って手錠のように両手をくくってぬいぐるみをだっこさせられて手が頭の方にいかないようにされたりしています(上の写真)
 呼吸補助装置を入れられていると声が全く出せません。泣いても無言です。口の周りには白いテープが止められているので、目と体だけで泣きます。嫌だよね、江実。

 今日は日曜日なのでドクターも少なく、判断がしにくいため、呼吸補助装置を外すのは早くとも明日以降になります。三日も声が出ず手足の自由を奪われてしまうことになります。本当に見ていると可哀想です。でも、声が出ないのは、本人は辛いだろうけれど見ている方は少し助かります。親子といっても他人の痛みや辛さは本当には分からないものです。

 今回の原因は恐らく「感染」がですが、まだ特定できません。

 退院のことを考えていましたが、「まだまだだよ!」って言われてしまった気がします。

 がんばれ、江実。

*写真は上から:
(1) 両手を縛られてぬいぐるみを抱っこさせられ、口には呼吸補助装置を突っ込まれている江実。寝るしかないよね。(9月24日)
(2) 木曜日までは何気なく暮らしていました。(右:9月19日(火))



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