勢川びき
1999年12月15日

No.24「いいこと二つ」

 今日は、とってもいいことが二つありました。

 まず、江実の心臓の詳細検査の結果、弁の漏れはあるものの、問題がないということが分かりました。カテーテルを足の動脈と静脈から差込み、心臓内部までセンサーを持っていって、それぞれの箇所での血圧や酸素濃度を詳細に調べました。

 「体重が思ったより増えないこと」「体の中で水が溜まりやすいこと」という現在の症状から考えて、心臓の弁の漏れが原因である可能性が高かったので、「心臓に問題はない」と聞いたときは、とても嬉しく、かつ拍子抜けしてしまいました。弁に問題がある場合は再手術で、かつ、弁を正常にするのは大変難しいと聞いていましたので、心臓の再手術を行わなくてよい、との診断結果は、これから別の原因・問題が分かるにしても、大変嬉しいものです。
 成功確率の低い心臓の再手術を必ず行うだろう、と覚悟を決めていましたので、いつ、どのような手術を行わなければならないのだろうか、ということだけ考えていたので、喜びもひとしおでした。

 これが、「今日のいいこと」の一つ目です。

 二つ目は、「いいこと」というよりは、びっくりしたこと、と言ったほうがいいかもしれません。

 数人の看護婦が、沢山のおもちゃが入った台車を引っ張って病室にやってきて、「Emiはいないのか」と聞くので、「今はカテーテル検査で別の部屋にいる」と言うと、「じゃ、後でまた来る」と去っていきました。その前にも病室にやってきたサンタの格好をした人から江実にミッキーのおもちゃをもらっていたので、「また、別のサンタが来ておもちゃをくれるのだろうな」としか思っていませんでした。(この時のサンタには警察官が二人同行していたので、もしかしたら囚人の社会復帰のためのプログラムの一環かもしれません。)

 2時間ほどして同じ看護婦がやってきたのですが、江実はまだ検査中で、「もう帰らなければいけないから、写真だけ撮るか?」と聞くので、「Sure」と答えてたものの、何故写真を撮るのかが意味がわかりませんでした。
 その直後、一人の小柄なおじさんが病室にやってきました。

 なんと、映画俳優のロビン・ウィリアムスです。
 びっくりしました。
 子供病棟を慰問に来たらしく、各病室を回り、子供にプレゼントをあげてポラロイドで写真を撮っていたようです。
 私は江実抜きで、彼と写真に収まりました。
 ポラロイド写真のスペースに「To Emi, all my love」とサインをしてくれました。

 今日は、本当にとってもいい日でした。

 江実、これからいいことがいっぱいあるよ、きっと。
 元気になろうね。


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